お客様のニーズに沿い、かつ適切なコストで提供するにはどうすれば良い?
前回の続き~昨年のリピートで御引き合いをいただいた大型製缶加工品ですが、図面変更によりコストが大幅UPとなりました。
その理由は・・・
①機械加工を行う箇所が増えたことで、外注業者さんでの加工が必要になったため
②材料費の高騰。SS400に加えてSUS304、A5052が追加されたため
③焼鈍(やきなまし)ショット加工が追加されたため
④レイデント処理が追加されたため
この加工内容を反映しコストを前年並みに・・・は厳しい…。というか無理です!!
加工業者さんと弊社のマージンを削ったとしても到底無理です。また何と言っても商売ですから、
仕入先さん、弊社のどちらかが我慢するとなると、お客様との良好な関係性は長続きしません。
ということで、加工内容の「必要性」を改めてお客様へ確認します。
その結果、①②は必須。
③のポイントは、材質:SS400&STK400の大型製缶品に焼鈍ショットが本当に必要か?ということです。
焼鈍ショット行うことで、強度向上、下地性能の向上などが挙げられますが、デメリットもあります。
製缶品には薄肉パイプ等、薄板なども組込まれており、焼鈍ショットを行うことで歪みが発生します。
歪み回避のためにショットではなくサンドブラストと言う手法もありますが、費用が…。ざっと数十万追加されます。
ということで、費用対効果の面から改めて確認いただくと、昨年納品したもので強度も問題無く、
かつ塗装も密着性も問題無かったとのこと。
では、焼鈍ショットは無しの方向で!!
④はどうか?そもそもレイデント処理とは・・・京都のレイデント工業様の専売特許であり、
レイデント工業様以外で「レイデント処理」を施工するにはライセンス契約を締結する必要があります。
補足ですが、カニゼンメッキなどもそうですね。日本カニゼン様の専売特許です。
それをお客様へ説明させていただくと、無電解ニッケルメッキに変更となりました。
ただし、レイデント処理と無電解ニッケルメッキとではもたらす効果が違います。
前者は防錆、後者は耐摩耗性、硬度の向上が主たる目的ですが、実はお客様の希望は後者だったそうです。
以上、③④を変更いただくことにより、コストの上がり幅を最小限に抑え対応することが出来ました。
で、改めて思い返すと・・・特に大きな案件の場合スムースに進んだ。ことは皆無です!!
まったく記憶にありません!
今回のようなやりとりをお客様、加工業者さん、弊社の3社で調整しながら進めてきたものばかりです。
”手間”であることは間違いないですが、案件に携わる各社がその”手間”を惜しまないことこそが、
良好な関係を長く続ける秘訣かも知れません!
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